アンモナイトの化石

息子が小学校低学年の時に、私の母やいとこと一緒に上野の博物館へ行った。ミュージアムショップでおばあちゃんに「一つ買ってあげるよ」と言われ、彼が迷わず「これ!」と指さしたのは鍵のかかったケースの中の化石だった。

いやいやいや、そこは恐竜のフィギュアとかパズルとかでしょう。私の説得など聞く耳持たず、こういう時に静かに強く主張する子供だった。

子と母の両方を見て目を丸くする私を無視して店員さんを呼ぶ母。「これがきっかけで学者になるかもしれないし」と複数枚の万札を出す。

先日部屋の片づけをしに2年ぶりに帰ってきた息子に「これ持ってけば」とアンモナイトの化石をわたすと「あ~それね~、あげるよ~」と。祖母の投資は無駄になったようだ。

Naomi Shioya's WORKS

ようこそ ガラス作家・塩谷直美の 公式サイトへ