供養花というのかな。近所で私より20も若い人のお葬式があった。この辺りでは黒い車を見送った後、供えていた花をいただいて持ち帰る。悲しみのおすそ分け。

生花店は寒くても暑くても急な大量注文に備えているのだろう。たいてい菊とカーネーションと百合、今回はスターチスとストックも。私でも名前を知ってる花ばかり。

父が亡くなった時、父と古くからの友人だという葬儀社の人が「白い菊だけで飾りたいと思うのですがどうでしょうか」と聞いてきた。そういう決定権を私にゆだねられることに戸惑った。いつでもなんでも父が決めてたから。

その人は真っ白い大きな祭壇をいつか作ってみたいとずっと思っていたと、父のためにやってみたいと熱く語った。本当は父には鮮やかで華やかな花が似合うのに。誰が見ても「うわ~派手だね~」みたいな。でもその時は父なら「そいつの好きにさせてやれ」と言いそうな気がしてしまった。母には申し訳なかったと思う。父の遺影は白い雲に包まれているようだった。

大震災の被災地で最初に営業再開したのが生花店。花を求める人の列をテレビで見た。悲しい別れの場面でまず必要になのは花なのだろう。

Naomi Shioya's WORKS

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