掃きそうじ

板張りの床はホウキでササっとやるのが気持ちいい。落ちてた髪の毛や埃は庭にたまっていくのかもしれないけれど。地球に吸い込まれていくっぽいから気にしない。

そんなんでまた思い出す昔のそうじ話。

あれは小学校1年生の時のそうじ時間。古い木造校舎の木の床の掃き方を担任のF先生が教えてくれた。ちりとりを木の継ぎ目に合わせて置くと最後の細かい埃が継ぎ目に落ちるって裏技。得意気な先生の表情が思い浮かぶ。そしてスッゴクいいこと教わったと目をまんまるにしてうなずく7歳の私。

どうしてそんなことをよく覚えているかというと、翌年ショッキングな出来事があったからだ。前述の先生が他校へ行ってしまい、2年生で担任はK先生にかわった。教えのとおりちりとりでとれない最後の埃を継ぎ目におとしていた私を見たK先生、すごく怖い顔で「見てたぞ、なんてことをするんだ!」と私からちりとりをとりあげた。そう、その先生は釘のようなもので教室中の木の継ぎ目から埃をかき出すような人だったのだ。

先生の言う事は正しいと信じていた頃の私、はじめて浴びせられた理不尽な対応にも、目をそらしたクラスメイトにも愕然とした。まあ今思えばそのあたりから先生という存在とその言動に懐疑的になったのかもな。

今日も私は元気いっぱい掃きそうじをする。庭にバサバサと埃をはきだす。


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