腕時計

中学に入って初めて腕時計を買ってもらった。通学のバスに乗り遅れないように。なのに1年足らずで失くしてしまった、もうしわけない。

18歳の時に父親が海外旅行のお土産にくれたオメガ。薄い小判型に黒い革バンドで気に入っていたの。やはり数年後晴海のモーターショーの人混みで落としてしまった、悲しい。

30歳の誕生日に相方がくれたダイバーウォッチ。愛犬ハマに2回もバンドをかみ砕かれ(相方は3回!)電池の消耗も早くてあまり使わずに引き出しの中で眠っている、ごめんなさい。

その後息子が七五三のお祝いで親戚からもらったおもちゃみたいな赤いスウォッチ。薄くて軽くて毎年展示会をしていた松屋銀座のギャラリーと同じフロアにショップがあって電池交換しながらしばらく使っていた。ショップがなくなって展示会もしなくなってスウォッチも持たなくなった、しかたがない。

そして今の腕時計。個展をした水戸の工芸品店のかたからいただいた男前なごついデザインのソーラー式。ちょっと重いけど文字盤が見やすいし何といっても電池不要がありがたい。水戸への引っ越しのバタバタ中にガラスにヒビを入れてしまった。気にしながらも使い続けていたけれど先日ついに動かなくなった。テーブルからぽろっと落としただけなのに。

メーカーに修理に出す前に近所の古めかしい時計屋さんで見てもらおうと、パンを買いに行ったついでに寄ってみた。「一応動いたけどすぐ止まるかもねえ。代金?いらないよ、すぐ止まるかもしれないし」とおじさんやさしい。買ったばかりのあんぱん一つ、代金がわりに置いてきた。あれから一週間まだ動いてる、ありがたい。

Naomi Shioya's WORKS

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